橋の下面全体をハンマーで叩いて回る作業は、足場や高所作業車の手配を含めて点検費用の大きな部分を占めます。「赤外線カメラで撮れば打音検査を減らせるのではないか」という相談は、点検の発注側からも受注側からも出てきます。

結論から書くと、減らせます。ただし条件と記録の義務がセットです。そして重要な前提がひとつあります。国土交通省の点検要領は「赤外線」という語を一度も使っていません。赤外線法は要領の中で名指しで認められた手法ではなく、「非破壊検査」という大きなくくりの中に含まれる形で扱われています。この違いは、社内稟議や発注仕様書を書くときに効いてきます。

この記事では、令和6年7月の橋梁定期点検要領の原文と、令和8年5月版の点検支援技術性能カタログの適用条件から、赤外線法が制度上どこに位置づくのか、打音検査をどこまで省略できるのか、そして省略した場合に何を記録しなければならないのかを整理します。

この記事の要点
  • 要領は「コンクリートのうき・剥離の点検は打音検査を用いることを基本」としたうえで、打音検査によらない場合も「同等の点検ができる適切な方法」を用いてよいと明記している
  • 非破壊検査で「異常なし」と判定した範囲は、その後の詳細な打音触診を省略できる。ただし省略した範囲を様式に図示して記録することが求められる
  • 要領にも解説・運用標準にも「赤外線」の語は出てこない。適用条件は技術ごとにばらばらで、「赤外線法一般の条件」という数字は存在しない

要領は赤外線法を名指ししていない

まず、どの文書を読むかを整理します。道路橋の点検には版と対象の違う要領が並存しているためです。

文書発行誰のためのものか「赤外線」の語
道路橋定期点検要領(技術的助言)令和6年3月すべての道路管理者出てこない
同(技術的助言の解説・運用標準)令和6年3月同上出てこない
橋梁定期点検要領令和6年7月国土交通省 道路局 国道・技術課(国管理施設向け全589ページ中に出てこない
橋梁・トンネル 点検支援技術 性能カタログ令和8年5月点検支援技術を検討する者技術ごとの諸元として記載

上の3冊はいずれも「赤外線」を使っていません。一方で「非破壊検査」は令和6年7月要領に33か所出てきます。制度は手法を名指しせず、性能で書いているということです。市区町村がまず従うのは上2冊で、損傷の種類や損傷程度の評価の細目を定めているのは3冊目です。この関係は国交省要領と都道府県の点検マニュアルの関係で整理しています。

令和6年3月の技術的助言は、状態の把握についてこう定めています。

状態の把握(技術的助言・令和6年3月・原文)
「定期点検時点における耐荷性能、耐久性能、その他の使用目的との適合性の充足に関する評価に必要と考えられる情報を、近接目視、または近接目視による場合と同等の評価が行える他の方法により収集すること。」

この「同等の評価が行える他の方法」の中身は法令にも要領にも書かれていません。何が同等かを判断するのは道路管理者です。近接目視そのものの定義については近接目視とは?定義と「同等の評価が行える他の方法」の要件で詳しく扱っています。

なぜ打音検査が「基本」なのか

ここからが赤外線法の話に直接関わる部分です。令和6年7月の橋梁定期点検要領は、第3章「橋梁利用者及び第三者被害の予防措置」の中で、うき・剥離の点検方法を次のように定めています。

措置の手順及び方法(令和6年7月要領・第3章4.2・原文)
「(1) 落下する可能性ある損傷(コンクリートのうき・剥離)の点検は,打音検査又はその他適切な方法により行う。このとき,外観や打撃時の濁音等より異常が確認された箇所に対して,たたき落としなど,コンクリート片の落下防止のための応急措置を行う。
(2) (1)によらない場合,(1)によったときと同等の点検,措置ができる適切な方法により,点検,応急措置を行う。」

そして、その解説に「なぜ打音が基本なのか」と「なぜ他の方法でもよいのか」が両方書かれています。

同・解説(原文)
「省令では,定期点検は近接目視により行うことが求められており,「技術的助言の解説・運用標準」では,法令の近接目視は,必要に応じて触診や打音調査が行える程度の距離に近づくことが想定されている。そこで,コンクリートのうき・剥離の点検は,打音検査を用いることを基本とした。一方で,落下の可能性ある損傷(コンクリートのうき・剥離)の点検や措置には,技術開発の進展に伴い,様々な非破壊検査技術の利用が考えられることから,打音検査によらない場合も同等の点検ができる適切な方法を用いることができることを明らかにした。」

つまり、打音が基本とされているのは「打音が最も精度が高いから」ではなく、近接目視の定義が「打音が行える程度の距離」を前提に書かれているからです。制度の側から見た理由づけであって、技術的な優劣の話ではありません。ここを取り違えると、稟議書で「赤外線は打音より劣るのでは」という論点にすり替わってしまいます。

比較の基準になる打音検査の仕様も、同じページに数値で書かれています。

項目要領の定め
点検ハンマー重量 1/2 ポンド(約230グラム)程度
打音検査の密度(間隔)原則として縦横 20 センチメートル程度を目安
判定清音(澄んだ乾いた音)ならうき・剥離なし、濁音(濁った鈍い音)ならあり
叩き落とし用ハンマー重量 2 ポンド(約910グラム)程度
濁音箇所の扱いチョーク等でマーキングし、できる限り叩き落とす

縦横20センチメートル間隔という数字が、あとで出てくる赤外線法の検出可能サイズ(10センチメートル四方程度)と対応しています。国が定めた標準試験でも、模擬うきの最小寸法はこの打音間隔を根拠に決められています。

打音検査を省略できる範囲と、記録の義務

実務上いちばん効くのはここです。令和6年7月要領の付録にある「橋梁利用者及び第三者被害の予防措置の実施記録様式」の記入要領には、次の規定があります。

予防措置の実施記録様式(その2)の記入要領・原文
「(3)対象範囲で,非破壊検査法を用いたうき・剥離箇所の推定を実施した範囲のうち,推定の結果によりその後の打音触診による検査を省略した範囲の図示
・対象範囲に対して, 第3章4.1(1)の点検において非破壊検査法を用いたうき・剥離箇所の推定をあらかじめ実施した場合において,推定の結果によりその後の詳細な打音触診による検査を省略した範囲(非破壊検査法を用いて「異常なし」と判定した範囲)を図示する。」

読み取れることは3つです。

読み取れること実務上の意味
非破壊検査で「異常なし」とした範囲は打音触診を省略できる省略は要領が想定した正規の運用。現場判断の逸脱ではない
省略した範囲は様式に図示して記録する面積の削減効果を、そのまま図面として残す必要がある
「点検未実施の範囲」とは別の凡例で区別する見ていない範囲と、見て異常なしとした範囲を混ぜてはいけない

3つ目が特に重要です。同じ様式には「点検が実施できなかった範囲」を図示する欄が別に用意されており、凡例も分かれています。「調査できていない」と「調査して異常なし」を同じ扱いにしないという構造が、様式のレベルで作り込まれています。

逆に、異常が推定された箇所については省略できません。要領は同じページでこう釘を刺しています。

令和6年7月要領・第3章4.2 解説(原文)
「遠望目視により把握した損傷及び非破壊検査により推定したうき・剥離箇所に対する打音検査は,その周囲を含めて広めに行うのがよい。」
「打音検査以外の方法を用いる場合にも,打音検査により見つけられる程度のうき,剥離について落下の予防がなされるように,適切な方法の選定,現地における必要な(措置)」

ここから導ける運用の形は「赤外線で全面をスクリーニングし、反応が出た箇所だけを周囲を含めて広めに打音する」というものです。赤外線で打音をゼロにするのではなく、打音を打つ場所を絞るという位置づけになります。要領自身も、複数の方法を組み合わせる余地を第3章3.で示しています。

令和6年7月要領・第3章3.「実施計画と体制」解説(原文)
「例えば,異常の把握において,非破壊検査が複数の橋梁で同様の方法を用いることができれば結果として経済的になる場合も想定され,打音検査のみによるのではなく,複数の方法を組み合わせることも考えられ,適宜検討するのがよい。」

性能カタログでの位置づけ

要領が手法を名指ししない代わりに、個別の技術の性能を整理しているのが「橋梁・トンネル 点検支援技術 性能カタログ」です。表紙の発行表記は令和8年5月・国土交通省 道路局で、かつての「(案)」は取れています。カタログの読み方全般は点検支援技術性能カタログとは?読み方と活用方法で解説しています。

カタログは7つの区分で構成されています。第1章「適用の範囲」の原文どおりに並べると、画像計測技術(橋梁)、画像計測技術(トンネル)、非破壊検査技術(橋梁)、非破壊検査技術(トンネル)、計測・モニタリング技術(橋梁)、計測・モニタリング技術(トンネル)、データ収集・通信技術です。

赤外線サーモグラフィを使ってコンクリートのうき・剥離を検出する技術は、このうち「非破壊検査技術(橋梁)」に収録されています。カタログはこの区分をこう定義しています。

非破壊検査技術カタログの掲載対象(性能カタログ 令和8年5月・第1章・原文)
「点検対象構造物(橋梁又はトンネル)の変状を外部から非破壊検査により計測する技術
あわせて用語「非破壊検査」の定義は「構造の外部から計測を行い、その結果から、破壊調査・試験で得られる物理量を推定したり構造又はその一部を破壊せずに構造の内部の変状の位置や分布を推定したりする行為」。

ここで押さえておきたいのが、カタログに載っている性能値の性質です。カタログ自身が表紙で「本性能カタログは、国が定めた標準項目に対する性能値を開発者に求め、開発者から提出されたものをカタログ形式でとりまとめたものです。」と明記しています。第1章の用語定義でも、性能値は「開発者が想定した条件下で独自に算出した理論値又は実施した試験値」とされています。国が検証した値ではなく、様式を国が定めて開発者が申告した値だということです。AIひび割れ検出の精度表示についても同じ構造があり、AIひび割れ検出の「精度」の見方で扱っています。

適用条件は技術ごとに違う

赤外線法の測定原理そのものは共通です。カタログに掲載された技術の「計測原理」欄には、次のように書かれています。

計測原理(性能カタログ 令和8年5月・非破壊検査技術(橋梁)・原文)
「赤外線サーモグラフィ法によりコンクリートのうき・剥離といった内部欠陥を検出する。物体から放出される赤外線の波長領域での放射の強さが、物体温度の関数となっていることを利用するもので、健全部と変状箇所との熱伝導の違いによる表面温度の差異を、赤外線カメラによって検出する手法である。」

原理が共通でも、適用条件はカタログの技術ごとにまったく違います。以下は実際にカタログ本体(非破壊検査技術(橋梁))から2件を引いたものです。同じ赤外線法でも条件がここまで違うという例として読んでください。

条件の種類技術A(冷却型カメラ・徒歩/台車/車載)技術B(手持ち撮影)
検出できる深さコンクリート表面から4センチメートル奥まで記載なし(部材厚が極端に薄い場合は背面の温度変化の影響を受けると注記)
検出できる変状の大きさ10センチメートル×10センチメートル以上記載なし
時間帯・温度条件夜間(日没から日の出まで)。偏光フィルタ適用時は昼間可損傷部と周辺表面にレンジ0.5度以上の温度差が生じる程度の外気温変化が必要
撮影角度対象面に対する最小角度 30度以上できるだけ正対(最大30度程度)
撮影距離レンズ変更により90メートル程度まで記載なし
検出波長帯3〜5マイクロメートル(検知素子 InSb)動作環境温度 マイナス15度〜50度、湿度90パーセントRH
不可条件荒天時/対象部位が湿潤/亜鉛を含む防錆スプレー等の金属系塗料の塗布部位カメラと対象の間に転落防止ネット等の遮蔽物がある場合は撤去が必要
出典:国土交通省 道路局「橋梁・トンネル 点検支援技術 性能カタログ」(令和8年5月)非破壊検査技術(橋梁)。表中の値は各技術の「計測の適用条件」欄の記載を要約したものです。個別の技術を選定する際は必ず原典の該当ページをご確認ください。

「赤外線法は日較差が何度以上必要か」という質問をよく受けますが、カタログを見るかぎり単一の答えは存在しません。温度差0.5度で足りるとする技術もあれば、日較差そのものを条件に掲げる技術もあります。カタログから技術を選ぶ作業は、この条件表を自分の橋の架橋条件に当てはめる作業だと考えたほうが実態に合います。

さらに、両方の技術に共通して「精度と信頼性に影響を及ぼす要因」の欄があります。技術Aは表面の凹凸、表面のざらつき、表面の色むらによる熱吸収の差、表面の付着物を挙げ、可視画像による表面状態の確認と併せて総合的に判断するとしています。技術Bは、漏水跡や汚れ、表面被覆工やはく落防止シートの境界部が「周辺部材との温度差あり」と誤判定されやすいと明記しています。誤検出の出方があらかじめカタログに書かれているわけで、ここは選定時に必ず読む価値があります。

要領の側も、非破壊検査を使う場合の実施計画に何を書くかを定めています。

実施計画(令和6年7月要領・第2章3.(6)・原文)
「(6) 近接目視・打音・触診以外の方法を用いる場合は,必要な機器の仕様,精度・誤差,キャリブレーションの方法,資格の必要性の有無,及び,結果の活用の留意点について整理されていること。」

解説はさらに踏み込んで、現地でのキャリブレーションと、部材の一部分に対する近接目視の併用を求めています。「選定した部材等においてもその一部分には,近接目視を行い,状態を直接確認することが考えられる」という記述です。赤外線法は近接目視を置き換えるものではなく、近接目視で校正しながら使うものという整理になります。技術の導入手順そのものは点検への新技術導入の手順にまとめています。

「うき」と「剥離・鉄筋露出」は別の損傷種類

調書に落とすときに迷いやすいのがここです。令和6年7月要領の付録「損傷程度の評価要領」では、うきと剥離は別々の損傷種類として定義されています。橋梁の損傷26種類一覧のうち、うきは12番、剥離・鉄筋露出は7番です。

損傷種類定義(原文)損傷程度の評価区分
⑫ うき「コンクリート部材の表面付近が浮いた状態をいう。」a(損傷なし)と e(うきがある。)の2区分のみ。b・c・dは設定なし
⑦ 剥離・鉄筋露出「コンクリート部材の表面が剥離している状態を剥離,剥離部で鉄筋が露出している場合を鉄筋露出という。」a/c(剥離のみ)/d(鉄筋露出・腐食は軽微)/e(鉄筋が著しく腐食又は破断)

要領は両者の関係も定めています。「浮いた部分のコンクリートが剥離している,又は打音検査により剥離した場合には,「剥離・鉄筋露出」として扱う。」という記述です。つまり、叩き落とした時点で、その箇所の損傷種類はうきから剥離・鉄筋露出に変わります。赤外線でうきを推定し、打音で確認して叩き落とした箇所をどちらで記録するかは、この一文で決まります。

また、うきの評価がaとeの2区分しかないのは、この項目が量ではなく有無を記録するものだからです。同じ構造は⑯支承部の機能障害にもあり、支承部の機能障害とは?評価がaとeしかない理由で詳しく扱っています。損傷程度の評価そのものの考え方は損傷程度の評価(a〜e)とは?を、コンクリート橋の個別損傷の見方は漏水・遊離石灰、剥離・鉄筋露出とは?を参照してください。

導入前に決めておく4つのこと

ここまでの原文を、発注仕様書や稟議書に落とすときの確認事項に整理します。

決めること根拠書き方の例
1. 何をもって「同等」とするか令和6年7月要領 第3章4.2(2)「打音検査により見つけられる程度のうき・剥離」を検出できること。カタログの検出可能サイズと深さで確認する
2. キャリブレーションの方法同 第2章3.(6)および解説現地の既知のうき、または供試体で温度差の検出可否を事前確認する。実施計画に手順まで書く
3. 近接目視を残す範囲同 第2章3. 解説変状が出やすい部位(基部・支承周りなど)と第三者被害の懸念部位(張出部など)を代表として近接目視する
4. 省略範囲の図示方法予防措置の実施記録様式(その2)記入要領「非破壊検査法を用いて異常なしと判定した範囲」を、点検未実施の範囲とは別の凡例で径間ごとに図示する

4番目は見落とされやすい割に、あとから効いてきます。省略の記録が残っていないと、次回点検で「この範囲は前回どう扱ったのか」が追えなくなります。調書の様式全体の組み立ては橋梁点検調書の構成と書き方に、写真の整理は損傷写真台帳の作り方にまとめています。

費用面では、赤外線法を含む新技術の積算に標準的な歩掛が整っていない領域があります。この考え方は新技術を使った橋梁点検の費用はどう決まる?で扱っています。稟議の通し方は点検支援技術の導入稟議の書き方を参照してください。技術の全体像から比較したい場合は点検支援技術の選び方 完全ガイドが入口になります。

出典:国土交通省 道路局「道路橋定期点検要領(技術的助言)」(令和6年3月)/同「技術的助言の解説・運用標準」(令和6年3月)/同 国道・技術課「橋梁定期点検要領」(令和6年7月)/同 道路局「橋梁・トンネル 点検支援技術 性能カタログ」(令和8年5月)。本文中の引用は各原典の記載をそのまま示したものです。最新の要領・様式・カタログは必ず原典をご確認ください。

よくある質問

Q. 赤外線法だけで定期点検の近接目視に代えられますか。
A. 代えられません。令和6年7月要領は非破壊検査等の手法を用いる場合について「選定した部材等においてもその一部分には,近接目視を行い,状態を直接確認することが考えられる」としており、現地でのキャリブレーションと併用が前提です。また、令和6年3月の解説・運用標準は「他の手段による状態に関する情報の把握によっても、最終的に『健全性の診断の区分』の決定が同等の信頼性で行えることが明らかな場合には、必ずしも全ての部材に知識と技能を有する者が近接目視による状態の把握を行わなくてもよい場合もある」としており、同等性の立証が条件になります。

Q. 赤外線法で「異常なし」とした範囲は、打音検査を本当に省略してよいのですか。
A. 省略できます。令和6年7月要領の「橋梁利用者及び第三者被害の予防措置の実施記録様式」の記入要領に、非破壊検査法を用いたうき・剥離箇所の推定を実施した範囲のうち「推定の結果によりその後の詳細な打音触診による検査を省略した範囲」を図示する欄が用意されています。ただし省略した範囲を様式に図示して記録することが求められ、点検が実施できなかった範囲とは別の凡例で区別します。

Q. 赤外線法は日較差が何度以上あれば使えますか。
A. 単一の答えはありません。性能カタログ(令和8年5月)に掲載されている技術ごとに条件が異なり、損傷部と周辺表面に「レンジ0.5度以上の温度差が生じる程度の外気温の変化」を条件とするものもあれば、調査時間帯そのものを夜間に限定したうえで熱環境測定装置で最適な時間帯を判断するものもあります。カタログの「計測の適用条件」欄を技術ごとに読む必要があります。

Q. どのくらいの大きさのうきなら検出できますか。
A. これも技術ごとです。性能カタログに掲載された技術のひとつは「変状箇所の大きさは10cm×10cm以上を対象」「検出できる内部欠陥は、コンクリート表面から4cm奥までのうき・剥離である」と明記しています。なお要領が定める打音検査の密度は原則として縦横20センチメートル程度が目安なので、比較の際はこの間隔を基準に考えることになります。

Q. 点検要領に「赤外線法」という手法名は載っていますか。
A. 載っていません。令和6年3月の技術的助言、同解説・運用標準、令和6年7月の橋梁定期点検要領(全589ページ)のいずれにも「赤外線」の語はありません。要領は「非破壊検査」というくくりで記述しており、赤外線法という手法名が出てくるのは点検支援技術性能カタログの側です。仕様書に書く際は「非破壊検査技術のうち赤外線サーモグラフィ法を用いるもの」といった書き方が実態に合います。

Q. 赤外線で反応が出た箇所は、その点だけ打音すればよいですか。
A. 周囲を含めて広めに打音します。令和6年7月要領は「遠望目視により把握した損傷及び非破壊検査により推定したうき・剥離箇所に対する打音検査は,その周囲を含めて広めに行うのがよい。」としています。推定は面の境界を厳密に決めるものではないという前提に立った規定です。

Q. 性能カタログに載っている性能値は、国が検証した数字ですか。
A. 違います。カタログの表紙に「国が定めた標準項目に対する性能値を開発者に求め、開発者から提出されたものをカタログ形式でとりまとめたものです。」と明記されています。第1章の用語定義でも、性能値は「開発者が想定した条件下で独自に算出した理論値又は実施した試験値」とされています。国が共通条件で試験した値は「標準試験値」として区別されているので、どちらの値を見ているかを確認してください。